ちんとんの演奏方法
ちんとんを購入したけど、どうやって弾くの?
ここでは準備から最初の一曲までの流れをまとめています。
難しいことはございません、ちんとんを手元に置きながら読んでみてください。
演奏の準備
コマ(駒)のセット
コマは胴の皮の上に立てて、弦を浮かせるためのパーツです。これがないと弦が胴にべったりくっついたままで、音が出ません。
セットする位置は胴の下端から約3cmくらいが目安です。ただ、この位置は好みで調整してください。
下すぎると音が硬くなり、上すぎると音がこもります。何度か動かしながら、自分が心地よいと感じる音の出る場所を探してみてください。

構え方
椅子でも床でもお好きな座り方で座り、胴を右の太ももの上に乗せます。棹は左手で軽く支えて、やや斜め上に向けます。
ここで大事なのは、棹を握り込まないこと。左手の親指と人差し指の間に棹を乗せるような感覚で、軽く添えるだけで十分です。ぎゅっと握ると左手が動きにくくなって、ツボ(勘所)を押さえづらくなってしまいます。
最初のうちは、構え方にこだわりすぎなくても大丈夫です。弾いているうちに、自分にとって楽な姿勢が見つかります。
調弦(ちょうげん)
弾く前に、3本の弦の音を合わせます。三味線と同じ方法で、主に3つの調弦があります。
| 調弦名 | 特徴 |
|---|---|
| 本調子 | 基本の調弦。力強い響き |
| 二上り | 明るく華やかな響き |
| 三下り | 落ち着いた柔らかい響き |
使う調弦は楽譜によって異なります。楽譜の冒頭に指定があるので、それに合わせて調弦を行ってください。
棹の上部にある糸巻きを回して音の高さを調節します。奥側に回すと音が高くなり、手前側に回すと音が低くなります。糸巻きは少し回すだけで音程が大きく変わるので、ゆっくり慎重に。

調弦にはチューナーアプリが便利です。スマートフォンで「三味線 チューナー」と検索すれば、無料のアプリが見つかります。
詳しい手順は「ちんとんの調弦方法」の記事で解説しています。
弦の弾き方 ― 三味線との違い
三味線の場合:撥(ばち)
三味線では大きな撥(ばち)を使います。銀杏の葉を大きくしたような形の道具で、手首のスナップを利かせて振り下ろすように弦を叩きます。
三味線の力強い音はこの撥から生まれますが、使いこなすにはそれなりの練習が要ります。
ちんとんの場合:富士山型ピック
ちんとんでは撥は使いません。付属の富士山型ピックで弦を弾きます。
ピックの持ち方は簡単です。富士山の山の部分を上にして、親指と人差し指で軽くつまみます。ピックの先端が弦に当たるように構えて、弦をはじくように弾きます。ギターのピック奏法に近い感覚です。
強く握る必要はありません。軽く挟む程度で十分です。手首の力を抜いて、ピック自体の重さで弦に当てるようなイメージで弾くと、自然な音が出ます。
最初は一の糸(一番太い弦)だけを狙って弾く練習をしてみてください。慣れてきたら、二の糸、三の糸と弾き分けていきます。上から下に弾くだけでなく、下から上にはじく弾き方もあるので、慣れてきたら試してみてください。
左手の押さえ方(ツボ)
三味線では弦を押さえる位置のことを「ツボ(勘所)」と呼びます。ギターでいう「フレット」の位置にあたりますが、三味線やちんとんにはフレットがありません。指で直接弦を押さえます。
棹の上のほう(糸巻き寄り)を押さえると低い音、下のほう(胴寄り)を押さえると高い音が出ます。
フレットがないということは、押さえる位置が少しずれると音程が変わるということです。最初はなかなか正確な位置を押さえられませんが、これは慣れの問題です。何度か弾いているうちに、指が位置を覚えていきます。
楽譜にはツボの番号が書いてあるので、最初はそれを見ながら一音ずつ確認してください。
はじめての一曲
ここまでできたら、「さくらさくら」を弾いてみましょう。調弦は二上り。テンポはうんとゆっくりで構いません。
楽譜の数字を見て、指定されたツボを押さえて、ピックで弦を弾く。それを一音ずつ繰り返していくだけです。最初から流れるように弾こうとしなくて大丈夫。一音出して、次の音を確認して、また一音。そのくらいのペースで十分です。
メロディの形が少しずつ見えてくると、弾くのが楽しくなってきます。焦らず、自分のペースで。
お手入れ
演奏後は柔らかい布で弦や棹を軽く拭いてください。コマは演奏しないときは外しておくと、音響膜への負担が減ります。直射日光や高温多湿の場所を避けて保管してください。
まとめ
ここまでの流れをおさらいします。
- コマを胴にセットする
- チューナーアプリで調弦する
- ピックを持って弦を弾く
- 左手でツボを押さえて音程を変える
- 楽譜を見ながら一曲弾いてみる
やることはこれだけです。最初はひとつひとつに時間がかかりますが、数日も触っていれば自然と手が動くようになります。
うまく弾けなくても、弦を弾いたときに響く和の音色は、それだけで気持ちのいいものです。
まずはその音を楽しむところから始めてみてください。